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ゼロからのスタート
5年間で売り上げ600倍
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今ではおなじみの商品として知られる、世田谷自然食品の化粧品。しかし、化粧品事業が立ち上げられた当初は、売り上げは芳しくありませんでした。注文数が伸び悩む中、他社事例を研究しながら、オフィスの片隅でDM発送作業をする日々。現在の成功に至るまでには、どのような取り組みがあったのでしょうか。座談会では、大ヒットの立役者である化粧品チームの4名に、成功までの道のりを語っていただきました。
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後発参入という状況で
研究・改善を粘り強く続ける
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──世田谷自然食品で化粧品事業がスタートしたのは、2011年のことですね。
Iさん 完全に後発という状況の中、4名の社員が核となってスタートしました。当社のカラーである「自然素材」を使用した商品を展開していこうという大まかなビジョンはあったのですが、商品知識から広告の打ち出し方まで全くゼロからのスタートでしたね。
Aさん お客様に何が必要とされているか、具体的な商品像も見えていなかったので、商品をリリースしてはお客様の反応を見て、また同業他社を研究しながら少しずつ改善を重ねていきました。
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──転機となったのは現在も販売されている「SEAC」の開発ですね。
Sさん その前に「うるおい雫」というオールインワンタイプの保湿ゲルをリリースしたところ、お客様から、「肌のお手入れがこれ一つでできるという手軽さにもかかわらず満足のいく保湿ができる」という評価をいただき可能性を感じました。しかし、「うるおい雫」では他社との差別化が難しく、大きく売り上げを拡大するまでには至りませんでした。そこで、朝と夜に分かれた、という特徴のある「SEAC」を開発しました。
Mさん ただ、いざリリースしてみると、中に入っている日焼け止め成分が原因で使用感が悪かったり、保湿力が足りなかったりと、改善点が多く見られました。これまでのノウハウを結集した商品に改善しようという事で、リニューアルに踏み切ったのです。
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予想以上の反響を得た自信作
リニューアル後の「SEAC」
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──2016年6月にリニューアルされた「SEAC オールインワンゲル」はこれまでの売り上げを大きく超えるヒット商品に。
Sさん それ以前からオールインワン化粧品、という商品コンセプトはある程度支持をいただいていたので、それ以外の部分はかなり細かいところまでこだわりました。お客様に「ステキ!」と思っていただけるような容器や付属品にしたり、保湿力を強化したり、香りを付けたりと、改善できる部分はとことん追求しましたね。
Aさん 広告における表現の仕方も徐々に変化を付けていきました。これまでに蓄積されたテスト結果を反映しながら、大きく打ち出す言葉を「うるおい」「保湿」といったものから「ハリ」「シミ」といった言葉に変えた結果、予想を上回るご注文をいただくことに成功しました。常にお客様の反応を意識しながら、より心をつかむ広告とは何かという命題に挑み続けています。
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──お客様からの反応は、どのようなものが多いのでしょうか。
Iさん もちろん、肌の調子やお化粧のノリが良いという声もたくさんいただいているのですが、なかでも「災害にあってつらかったが、シークのおかげで元気な毎日が過ごせている」という直筆のお手紙をいただいた時は感動しましたね。化粧品はその効果だけでなく、女性の気持ちを前向きにして人を元気にできる商品なのだなと、新たな価値を感じた瞬間でした。
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──ヒット商品が生まれたことで、チームの状況・意識にも変化が生まれたのではないでしょうか。
Sさん 私は就職活動をしていた時から化粧品の仕事をしたいという希望があり、その想いを汲んでいただく形で入社以来こちらに在籍しています。月の売り上げが本当に少なかった頃から携わっていて、その頃から比べると今は月数億円の売り上げにまでなったので、やっと会社に貢献できるようになったなと感じます。
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Aさん オフィスの片隅でDMの発送作業をしていた頃に比べると、だいぶ状況は変わったよね(笑)。予想以上の注文をいただくと「在庫がなくなる!」という新たな問題が発生することもあり、このような状況は以前では考えられませんでした。
Mさん 100人、200人しかお客様がいなかった時のことを思うと、今では信じられないくらい多くの方に買っていただける様になりました。
Iさん 新たに化粧品専門のコンタクトセンター部門設立を計画するなど、ニーズの高まりに応じた対応も必要になってきています。試行錯誤しながら一生懸命取り組めば売り上げは何百倍にもなるというこの成功体験を、今後も大切にしていきたいです。
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──長期的な目線を持って新規事業に取り組むことができる機会というのも、なかなかない事だと思います。
Sさん 結果を出すのに5年間という時間を要しましたが、これまでトライさせていただいたたくさんのチャレンジと失敗のプロセスが、今では財産になっているなと実感しています。2012年頃から社長を含めて毎週欠かさずミーティングを行い、試行錯誤をしてきた結果が現在の状況になりますので、社長は社長でありながら、上司でもあり、チームの一員でもあります(笑)。
Iさん 古くは2009年に「泡どろせっけん」という商品をリリースしていたのですが、この頃から社長には「絶対に化粧品を成功させる!」という強い思いがありました。なぜなら化粧品も健康食品と同じく、「お客様に長く使っていただける商品」という認識があったからです。そして健康食品で培ってきたノウハウが化粧品にマッチするというビジョンまで見えていたようです。
Mさん 社長には「今の売り上げじゃまだまだだぞ!」とハッパをかけられているので(笑)、もっと成長していかなければならないと思っています。現在の実績を土台としつつオールインワン化粧品市場の中でシェアを拡大し、SEACシリーズのラインナップを充実させ、バリエーションを増やした商品展開を継続していきたいですね。